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何もかもがリアル|映画「息もできない」

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泣こうと思って映画を見る人が嫌いだ。
「泣ける映画教えて」と人に聞かれることがあるけど、たいてい「人それぞれだろうからわからない」とはぐらかしている。
よく映画サイトの評価欄で「全然泣けなかった」とかいうコメントを見かけるが、泣けなかったら泣けないでいいじゃないか。何もお前に無理矢理泣いて欲しくて映画作ってるわけじゃないんだから。それにあからさまに観客を「泣かし」にかかっている映画は、大抵クズだよ。
だからこの映画に「号泣必至」という触れ込みがついたことは、個人的にすごく嫌なことだった。泣くこと前提の人たちに見てもらいたくないという俺のエゴに違いないんだけども。

ストーリーがこれだけありきたりの展開なのに、
信じられないぐらいリアルで進行がよどみないのは、監督の手腕だな。
あとはわざとらしくないヒロイン(キム・コッピ)の演技。いや、むしろ神懸かってたかあの演技は。ホント彼女が演じるヨニの強さが全編通して際立っていた。
出演する役者全員が、自分の役どころを最大限に演じきっていた感じ。
それだけでもかなり見応えある作品だよこれは。
漢江(ハンガン)での二人のシーンは、ストーリーが見事に交わって、それぞれの感情が溢れ出す名シーン。後世に語り継がれてもいいと思う。

何か言葉では表せないぐらい胸をえぐられた。
これだけ暴力が溢れている映画なのに、最終的に暴力を憎悪する自分がいる。
ヤン・イクチュン監督はすごい仕事をした。また映画撮る前に10年間役者しているだけあって、自身の演技も素晴らしい。
本当に次回作に期待が持てる監督だ。